HTMLにはバージョンがあることをご存知でしょうか?
最近良く使われるのはHTML5ですが、HTML5はInternet Explorer 8以前のブラウザには対応していないため、数年前まではHTML5の前身バージョンである、HTML4やXHTML1.0が採用されることが多かったと記憶しています。
さすがに近年ではHTML5が浸透してきているのであろうと思われるので、市場を調査してシェアを調べてみました。

HTMLのバージョンって?

HTMLのバージョンはいくつかあります。現在主流はHTML5ですが、前身バージョンもまだ使用されています。幾つか紹介します。

HTML5

HTML5はハイパーテキストマークアップ言語の5回目に当たる大幅な改定版である。
HTML5はWeb Hypertext Application Technology Working Groupによって2004年に定められたWeb Applications 1.0にWeb Forms 2.0を取り入れたものがWorld Wide Web Consortiumの専門委員会に採用され、World Wide Web Consortiumより2008年1月22日にドラフト(草案)が発表され、2014年10月28日に HTML5 が勧告され、2016年11月1日に HTML 5.1 が勧告され、2017年12月14日に HTML 5.2 が勧告された。

引用元: ウィキペディア

現在最も使用されているバージョンですが、比較的新しいバージョンのため古いブラウザでは対応していないなどの問題があります。モダンなブラウザではすでに主要な機能は対応しているので、新規サイトを作る際はほぼこのバージョンを選択することになるでしょう。

HTML4

1997年12月18日に、W3C勧告としてHTML 4.0の仕様が発表された。HTML 4.0は1998年4月24日に仕様が改訂された。この仕様にいくらかのマイナーな修正が加えられたHTML 4.01は1999年12月24日にW3C勧告となった。Strict DTD の他にHTML 3.2からの移行過渡期のための Transitional DTD とフレームを使うことのできる Frameset DTD の3つのスキーマを持つ。

引用元: ウィキペディア

HTML5の前身バージョン。4.0と4.01のバージョンがあります。それぞれのバージョンにStrict、Transitional、Framesetというセットがあり、それぞれ使用できる機能に違いがあります。StrictはHTMLとしてそぐわない仕様をどんどん削除し厳密なHTMLセットとしての仕様、Transitionalは現状のHTMLの使われ方をもとにある程度は現状の仕様を残していこうという意図の仕様、Framesetはフレーム機能を含んだセット仕様というイメージです。

XHTML 1.0

Extensible HyperText Markup Language(エクステンシブル ハイパーテキスト マークアップ ランゲージ)、略記・略称:XHTML (エックスエイチティーエムエル)は、SGMLで定義されていたHTMLをXMLの文法で定義しなおしたマークアップ言語である。その仕様はHTMLと同じくW3Cによって勧告されている。
XMLを採用したため、MathMLやSVGなど他のXML文書を埋め込むことができるようになった。

引用元: ウィキペディア

HTMLがXMLに似た文法を持ちながらも独自の文法で記述できることに対し、XMLのルールに準じた記述でHTMLを記述しようと規定されたのがXHTMLです。HTML4と同様にStrict、Transitional、Framesetというセットがあります。HTML4とともにHTML5以前によく使用されていましたが、HTML4よりXHTMLのほうが多く使われていた実績があります。

調査対象

調査の対象は上場企業約3600社のトップページです。上場企業トップページのURLはPathfinderGateさんのデータを参照させていただきました。やや情報が古いため、アクセスできないページがあったりして全数調査はできていないことと、2017年現在の上場企業のデータとは差異があることをご承知おきください。

調査方法

上場企業約3600社のトップページにアクセスしdoctypeを調査しています。
一部、doctypeが取得できないものやアクセス不能なページ、他のページにリダイレクトするページなどがありましたが、そのようなページはNoneとして表示しています。

調査結果データ

HTMLバージョン件数採用率
HTML5185951.6%
XHTML 1.0 Transitional113231.4%
HTML 4.01 Transitional3529.8%
None1273.5%
XHTML 1.0 Strict942.6%
XHTML 1.1130.4%
HTML 4.0 Transitional110.3%
HTML 4.01 Strict80.2%
HTML 4.01 Frameset20.1%
HTML 3.210.0%
XHTML 1.0 Frameset10.0%
HTML 4.0110.0%

HTMLバージョン調査

HTML5の採用率が半分そこそこと、思った以上に少ない結果となりました。大企業に限定すると状況が異なるのかも、と思ったので東証一部上場の1900社に限定してみることにします。

東証一部に限定してみる

HTMLバージョン
件数採用率
HTML5101953.3%
XHTML 1.0 Transitional60631.7%
HTML 4.01 Transitional1668.7%
None663.5%
XHTML 1.0 Strict402.1%
HTML 4.01 Strict60.3%
XHTML 1.160.3%
HTML 4.0 Transitional20.1%
HTML 4.01 Frameset10.1%
XHTML 1.0 Frameset10.1%

HTMLバージョン東証一部

上場企業全体とそれほど傾向は変わりませんでした。
HTML5の採用はまだまだ進んでいないともとれますし、数年前からサイトをリニューアルせずにそのままということもあるかもしれません。サイトを比較的頻繁に新しくしなければならない業種であればHTML5の採用は伸びているのでしょうか?
次は業種ごとにHTML5の採用率を見てみます。

業種別HTML5採用状況

業種社数HTML5採用数HTML5採用率
保険121083.3%
情報・通信37424465.2%
サービス38424062.5%
不動産1147162.3%
水産・農林10660.0%
医薬品633657.1%
その他金融341955.9%
小売34219155.8%
銀行945255.3%
その他製造1116155.0%
電気機器26814052.2%
電力・ガス241250.0%
繊維542750.0%
食品1316549.6%
非鉄金属351748.6%
証券、商品先物取引401947.5%
卸売34516347.2%
機械23310745.9%
輸送用機器1004545.0%
建設1788044.9%
精密機器512243.1%
ゴム19842.1%
金属製品913841.8%
鉄鋼482041.7%
陸運・海運・空運833339.8%
窯業612439.3%
化学2178438.7%
倉庫・運輸関連391538.5%
石油・石炭製品13430.8%
パルプ・紙26519.2%
鉱業7114.3%

業種別HTML5採用率

業種でHTML5の採用率に差が出ました。
一般ユーザ向けの業種はやはりWebによる訴求が大きいのか、新しい技術への反応が良いように見えます。対してビジネス向けの業種は古いままのWeb運用をされているところが多いのが数字から見て取れます。とはいえ、情報・通信でさえ65%というところを見ると、まだまだHTML5以前の技術も捨てきれていないようです。

まとめ

現状のHTMLのバージョンについてシェアを調べてみたところ、HTMLは50%をやや上回る程度の採用率でした。HTML5の採用率については業種によって異なることがわかりました。あくまで推測ですが、一般ユーザ向けにWebサイトを更新しているサイトではHTML5の採用が進んでいるように見えます。
古いサイトが徐々にリニューアルされるにしたがって、今後さらにHTML5のシェアは増えていくと思われます。